中央大学法学部

 博士論文を仕上げた後も、創業した(株)ゲノム創薬研究所の経営を続けるためには、法律に関する広い知識と特許に関する深い理解が不可欠と感じていました。特許を巡っては競争企業同士が争うことも多く、ベンチャー企業は資金力がないことから、大企業と法廷闘争をする余裕はありません。私は同大学の大学院にて、長く国際私法を研究していましたが、企業経営のために、商法、民法、労働法など法律の広い領域のさらなる理解の必要性を感じていました。そこで、中央大学法学部(通信課程)に入学して、特許法を含めた企業経営に直接関連する法律の勉強をすることとしました。勿論、大学に入学せずに独学することもできましたが、費用は半年分の授業料と入学料を合わせても10万円に満たず、いつでも辞められるくらいの軽い気持ちで3年次に編入学してみました。社会人になる前に卒業した大学の成績表を提出すると、教養科目と一部の選択科目は取得単位として認められます。初めに複数レポートを提出したところ、1本目のレポートは不合格で返却されました。しかし、他科目のレポートは高評価で返却されました。模範例などを見て、レポートを書くためのルールを守ることが大事であることに直に気が付きました。レポートが2本合格するとスクーリングに出て試験に臨みます。中大法学部の採点は厳しく、出席点などなく試験の結果のみで評価されます。レポートを何度出しても通らない”同級生”にスクーリング会場で会ったことがあります。スクーリングの後に受ける試験もかなり不合格となるようです。レポートは書き方と問題の趣旨を理解することが大事です。また科目によっても難易度が異なるので、易しい科目から勉強を始めることが大事だと思います。商法・民法を中心に勉強しましたが、日本の法体系において、民事訴訟法と刑事訴訟法は単なる手続き法ではなく、市民生活に重要な位置を占めていることを知りました。1年目の終わりから卒業論文の準備を始めました。私の場合は特許の理解を深めることが入学の目的であり、当然、特許法の研究を行いました。特許の3つの要件の内、最も争いの多い、進歩性の判断について論文を書きました。この論文には十分な時間をかけ自信のあるものとなりました。後年、発明協会の複数の弁理士の方にも読んで頂き、議論を重ね修正を加え、正式な論文「特許における進歩性判断のあり方」として発表しました。(論文全文PDF=千葉商科大学学術リポジトリ (nii.ac.jp) )ところで、当初2年間で卒業する目標を立てていましたが、必要単位の取得はぎりぎりで、なんとか2年で卒業することができました。

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