(最近のトピック)

(社会人の皆様と交流することを計画しています。)

雑誌『AERAムック2021大学院・通信制大学』の記事

雑誌『AERAムック2021大学院・通信制大学』の「働きながら学ぶという選択肢 注目される社会人大学院」という記事の監修を行いました。

(博士論文の書き方)

社会人大学院生にとっての博士論文の意味といかにして執筆すべきかについて、永年サラリーマンと社会人大学院生だった私の経験に基づいて書いてみます。スマホで読む人も多いブログなので、必要な情報に速くアクセスできるように書きます。

<博士論文を書く目的とメリット>

1.各分野の専門家として認知される。講演・執筆の機会が増える。

2.自己の研究の集大成となり、さらに高い目標を設定できる。

3.大学のポジション(教員職)を得やすくなる。

4.英文敬称が、Mr. Ms. などから、Dr. となる。

<基本的な方法論>

1.大学院の博士課程に入学

 日本には博士課程に入学せずに、論文を大学に提出して博士号(論文博士)を取得する方法もありますが、サラリーマンの場合は効率が悪いでしょう。学費を払って指導教授の指導を受ける方が効率が良いと思います。

2.論文テーマ

 入学願書にはテーマが書かれているが、実は入学後にテーマを探す人がいます。職業人として仕事上の問題意識から研究テーマを決めないと完成することはかなり難しいです。修士論文は指導教授の研究領域に近いテーマで書くことができても、修士論文の延長線上のテーマでは博士論文の完成は厳しいです。さらに言うと、職業上の問題意識も専門性が必要です。例を挙げて説明します。私は銀行員として、銀行の国際部、海外店、国内店で勤務しました。その経験から、取引先との交渉などの営業活動を多く行いました。職業人としての問題意識としては、①取引先を増やす方法、②将来性のある取引先を見つける方法などがあります。しかし、このような問題意識から博士論文のテーマはなかなか見つからないと思います。銀行には専門性の高い部署があります。例えば調査部門、審査部門やディーリング部門などです。審査部門などで働いた人が、例えば企業分析で独自の手法・方法論で倒産企業リスク分析を理論化できれば可能性はあるはずです。しかし、その理論が正しいと証明する必要があります。さらに銀行員として利用したデータを論文に利用するためには、銀行の了解が必要なはずですし、さらに取引先の了解を得ることは不可能となります。つまり職業人として持っている問題意識から解決策を見つけて、公開利用できるデータで証明するのは意外と難しいということとなります。

3.途中で断念することも念のため想定すべき

 入学していきなり博士論文の本体部分の執筆を始めることはお薦めできません。むしろ周辺部分の情報を分析するなどして(下記★)、研究ノート・小論文として院生用雑誌などに発表したり、学会報告することをお薦めします。そのことにより博士論文の論点整理ができる上に、途中で断念しても、その研究ノート・小論文が自身の研究業績として残ります。いきなり博士論文という大きな山を築くのではなく、小さな丘を築いて、大きな山に育てるという考え方をすると、撤退する場合にも複数の論文という業績を残すことができます。社会人にとって博士論文の執筆は、指導教授のアドバイスに従って、登山するようなもので、そのアドバイスが不適切であれば、登頂することはできません。そのような場合も、部分的な研究業績を残しておけば、数年後に、他の大学院で、登り口を変えて、再度チャレンジし易くなります。

★①周辺の先行研究の分析

★②日本に先行研究がない場合に、欧米の(英文)論文の研究

★③その領域の議論が裁判となっている場合には、裁判資料の分析

 6年、7年と頑張る人もいます。10年頑張った人も見ています。私は社会人大学院生とくに博士課程の院生には、諦める勇気が大事だと思っています。なぜならば指導教授を含めて、回りの人は決して「断念」するようにアドバイスしません。

4.完成までの道のり 

 私の場合、当初、多摩大学大学院博士課程と横浜国大大学院博士課程に入学を許可されましたが、テーマが見つけられない、あるいは横浜は遠すぎて論文指導を受けにくいなどで、博士課程に入学することを断念しました。そして中央大学大学院博士課程法学研究科に入学しました。しかし銀行の国際部に勤務していても、博士論文を書くための情報を集めることはできませんでした。在籍中に指導教授との共著論文を含めると2本の論文を書きました。数年在籍しましたが、私にとって、国際私法の博士論文の執筆には、突破できない厚い壁があったように思います。博士論文の執筆は、社会人の場合には、職業人としての問題意識を勤務を通じて醸成し、データや資料を十分と入手してから、博士課程に入学することが望ましいと思います。またその領域の修士課程を修了しておくことが却って、早道です。具体的な書き方は、人により、テーマにより、指導教授により様々です。私の場合については、別メニュー「私の自己啓発履歴」の18を参照してください。

(通信制大学)

(社会人の方との交流を計画しているページです。)

1.学び方

 私は現在に至るまで、その時その時のニーズに合わせて、大学の通信教育課程でいろいろな勉強・研究を行っています。ここでは私が学んだ中央大学法学部(通信教育課程)、慶應大学文学部(通信教育課程)、日本大学政治経済学科(通信教育課程)を中心に記事を書くこととします。

 大学の通信教育課程は、学費(除くスクーリング)が安く、夜間・休日に自宅で勉強することで、原則として卒業できます。卒業時に受け取る卒業証書は、通学生と全く同じもので区別はありません。ネットなどで、自分の履歴書に慶応大学卒と書くのか、慶応大学(通信)卒と書くべきかという議論をしている人がいます。私は(通信)を入れる必要はないと思います。そもそも通信課程の学生は通学課程の学生とある意味同等以上に勉強をする必要があります。私は、このブログを含めて履歴書に、「慶応大学文学部卒業」、「中央大学法学部卒業」と書いています。私が以前所属した中央大学大学院では、同大学の通信課程出身の大学院生を高く評価していました。しかし、通信課程に入学して単位が取れず困っている”同級生”が結構いました。通信課程は同級生とキャンパスで会う機会がほとんどなく、全て自分で解決する必要があり、壁にぶつかり対応できなくなる場合が多いのです。私の著書『働きながら学べる社会人大学院・通信制大学』の14章でも問題解決策を書きまいたが、このブログでも書かせて頂きます。まず通信教育課程の長所と短所を下記に示します。

通信教育課程の長所

 ①授業料(除くスクーリング)が安い。

 ②原則としてキャンパスに行かず、自宅で勉強ができる。

 ③入学試験の代わりにレポート審査で春と秋に入学することができる。

 ④通学課程と同じ教授陣によるスクーリング授業や卒業論文指導を受けることができる。

  利用策 

  A 深く勉強したいテーマに合わせて臨機応変に入学する。

  B いつでも何度でも入学、退学できる。

通信教育課程の短所

 ①自力で作成するレポートが再提出をしても不合格となっても対応しにくい。

  対応策 

  A 過去の合格レポートの実例(教務で保管)と自分のレポートを比較する。

  B 要領を得るまで合格しやすい科目のレポートを作成し、先生の講評を良く読む。

 ②勉強を進めるための計画を立てにくい。

  対応策

  A 同じ大学の卒業生、同窓生が作成しているネット記事を参考とする。

  B 卒業に必要な単位から、必要とする年数と今期必要な単位を逆算する。

2.私が学んだ3つの通信教育課程

1.中央大学法学部(通信教育課程)

 ここからも入れます。 (sekimizu-selfdevelopment.com)

2.慶応大学文学部(通信教育課程)

 ここからも入れます。 (sekimizu-selfdevelopment.com)

3.日本大学法学部・文理学部(通信教育課程)

 ここからも入れます。 (sekimizu-selfdevelopment.com)

中央大学法学部

 博士論文を仕上げた後も、創業した(株)ゲノム創薬研究所の経営を続けるためには、法律に関する広い知識と特許に関する深い理解が不可欠と感じていました。特許を巡っては競争企業同士が争うことも多く、ベンチャー企業は資金力がないことから、大企業と法廷闘争をする余裕はありません。私は同大学の大学院にて、長く国際私法を研究していましたが、企業経営のために、商法、民法、労働法など法律の広い領域のさらなる理解の必要性を感じていました。そこで、中央大学法学部(通信課程)に入学して、特許法を含めた企業経営に直接関連する法律の勉強をすることとしました。勿論、大学に入学せずに独学することもできましたが、費用は半年分の授業料と入学料を合わせても10万円に満たず、いつでも辞められるくらいの軽い気持ちで3年次に編入学してみました。社会人になる前に卒業した大学の成績表を提出すると、教養科目と一部の選択科目は取得単位として認められます。初めに複数レポートを提出したところ、1本目のレポートは不合格で返却されました。しかし、他科目のレポートは高評価で返却されました。模範例などを見て、レポートを書くためのルールを守ることが大事であることに直に気が付きました。レポートが2本合格するとスクーリングに出て試験に臨みます。中大法学部の採点は厳しく、出席点などなく試験の結果のみで評価されます。レポートを何度出しても通らない”同級生”にスクーリング会場で会ったことがあります。スクーリングの後に受ける試験もかなり不合格となるようです。レポートは書き方と問題の趣旨を理解することが大事です。また科目によっても難易度が異なるので、易しい科目から勉強を始めることが大事だと思います。商法・民法を中心に勉強しましたが、日本の法体系において、民事訴訟法と刑事訴訟法は単なる手続き法ではなく、市民生活に重要な位置を占めていることを知りました。1年目の終わりから卒業論文の準備を始めました。私の場合は特許の理解を深めることが入学の目的であり、当然、特許法の研究を行いました。特許の3つの要件の内、最も争いの多い、進歩性の判断について論文を書きました。この論文には十分な時間をかけ自信のあるものとなりました。後年、発明協会の複数の弁理士の方にも読んで頂き、議論を重ね修正を加え、正式な論文「特許における進歩性判断のあり方」として発表しました。(論文全文PDF=千葉商科大学学術リポジトリ (nii.ac.jp) )ところで、当初2年間で卒業する目標を立てていましたが、必要単位の取得はぎりぎりで、なんとか2年で卒業することができました。

慶応大学文学部

 ベンチャー経営を研究した千葉商科大学大学院博士課程の恩師のご紹介で、大宮の聖学院大学でベンチャー企業論の講義を行うようになりました。(詳細は私の別のブログご参照: (n-sekimizu.com) )

そして私は日本のベンチャー企業を深く理解するために、日本初の起業家である渋沢栄一を歴史学の観点から研究しようと考えました。そのために慶応文学部(通信課程)に入学し、史学の勉強をして論文を書くこととしました。日吉キャンパス(下の写真)や三田キャンパスで久しぶりにスクーリングや科目試験を受けました。慶応の文学部はかなり広い領域の科目が設置されていて、ほとんど触れたことのないような新鮮な知識も併せて勉強することができました。また歴史学はいかに研究すべきかということを学ぶことができました。

当時はベンチャー企業の経営も行っていて、かなり多忙であったことから、慌てずに4年近くかけて卒業単位を取得し、卒論を仕上げました。卒論は、入学前にパリに行き、渋沢が宿泊したホテルや当時開催された万博の資料を収集していたことから、それらを利用して作成しました。卒論執筆にあたっては、文学部の井奥教授に指導して頂きました。

文学部井奥ゼミにおける論文指導の様子

その論文は、後に修正を加え発表しました。(関連の私のエッセイ参照:日本初の起業家、渋沢栄一が渡欧で学んだこと – 関水信和 ベンチャー経営 (n-sekimizu.com) )

日本大学法学部・文理学部

1.法学部政治経済学科

2021年に入学し卒業単位を全て取得して、2023年3月に卒業予定です。下の写真は、スクーリングと科目試験で通った法学部の建物です。政治学をあまり学んだことがなく、入学して政治史、外交史などを勉強しました。今まで、勉強したことのない領域であったことから、とても新鮮でした。過去に通学した中大(通信)や慶応(通信)と比べると大学生の年齢がかなり若いように感じられました。マクロ経済など勉強したことのある科目は復習的なものでしたが、学び直すことで、新しい発見を沢山することができました。

スクーリングの教室の様子

2.文理学部文学専攻(英文学)

 英語と英文学の勉強が手軽にできるので、以前、1年ほど在籍していました。英語の勉強にはいろいろな方法がありますが、大学の通信教育を利用すると自分の生活のリズムの中でできるので、やりやすいと言えます。スクーリングで古英語という英語の古文を勉強するものがあり、とても興味深い授業でした。卒論ゼミにも参加し、一通り勉強することができたと思い、中退しました。日大は図書館などの設備が充実している上に、とても多くの学部の通信教育が行われています。高校を卒業して、働きながら通学している人も多いようです。いろいろなライフスタイルに応じて、適宜勉強できます。